失敗や逆境から立ち直る科学的な方法

自己啓発

失敗や逆境から立ち直る科学的アプローチ

私たちは生きている限り、困難や逆境を避けることはできません。人生には必ず辛い状況が訪れます。この記事では、科学的に今いる苦しい状況から抜け出す方法を解説します。これを読むことで、少しでも気持ちが楽になることを願っています。

まず、私たちの脳は常にシミュレーションを行い、未来を予測しようとします。これは何千年もの進化の過程で身についた能力です。しかし、ストレスや困難な状況に直面すると、このシミュレーション能力が破壊され、重要な道を見落としてしまうことがあります。特に、今の状況から抜け出すための道が見えなくなるのです。

辛い状況にある時、そこから伸びる道は主に3つあります。1つ目は、今いる場所をぐるぐると回る道です。この道は状況が全く改善しない道です。2つ目は、さらに悪い結果へとつながる道です。例えば、喧嘩や失恋で運動や勉強をやめてしまうことが挙げられます。このような状況を「第二の矢」と呼びます。第一の矢は避けられないかもしれませんが、第二の矢は自分次第で避けることが可能です。

最後に3つ目の道は、失敗や挫折から始まって人をより強くし、成長させる道です。この道を見つけることが、困難に打ちのめされるか、そこから立ち上がるかを分ける鍵となります。多くの研究が、挫折を成長の機会と捉えられる人がその成長を実現できることを示しています。

私たちが困難な状況に直面した時、重要なのは第三の道を見つけることです。この道を見つけることで、困難な状況から脱出し、より強く成長することができます。

困難な状況から抜け出すための心理学的アプローチ

私たちは、困難な状況に直面すると、その状況から抜け出せずに立ちすくんでしまうことがあります。心理学者マーティン・セリグマンが発見した「学習性無力感」という概念は、この現象を理解するための鍵となります。セリグマンの実験では、犬にベルの音を聞かせ、その後に軽い電気ショックを与えることで、犬がベルの音だけで反応するように条件付けました。次に、犬たちを2つの部屋に分け、一方の部屋では電気ショックが与えられるが、もう一方の部屋では安全である状況を設定しました。しかし、犬たちは安全な部屋に逃げることなく、そのまま危険な部屋に留まりました。これは、犬たちが無力感を覚え、何をしても避けられないと学習したからです。

この無力感は人間にも同様に適用されます。セリグマンのグループは、人間を2つのグループに分け、それぞれに不快な音を流す部屋に入れました。最初のグループはどのボタンを押しても音が止まらないように設定され、2つ目のグループはボタンを押すと音が止まるようにしました。その後、両グループを別の部屋に移し、音を止めるためには壁のハンドルを反対側に倒す必要がある状況を設定しました。2つ目のグループはすぐに音を止めましたが、最初のグループは音を止めることを試みませんでした。これは、最初のグループが無力感を学習し、新しい状況でもその無力感を持ち込んだからです。

このように、一度無力感を感じると、その感覚は他の状況にも影響を及ぼします。例えば、仕事で挫折を経験すると、人間関係にも無力感を感じるようになることがあります。これは「過剰学習」と呼ばれる現象で、特定の分野での失敗が他の分野にも影響を及ぼすことを示しています。

無力感から抜け出すためには、まずその存在を認識し、新しい解決策を模索することが重要です。次のセッションでは、困難な状況から抜け出し、その状況を利用して成長するための具体的な方法について詳しく解説します。

さて、これまでに辛い状況に陥ると私たちはなぜ行動できないのか、そしてなぜその状況を改善するための道が見えなくなってしまうのかという知識を徹底的に解説してきました。この知識を踏まえ、今回は実践的な辛い状況から抜け出し、より強くなる方法について解説します。多くの研究によって、辛い状況や逆境は成長するための大きな糧になることがわかっています。つらい状況に陥ったとき、電気ショックを受けた犬のように無力感を感じるのか、それともその状況を利用して成長するのかで、私たちの人生は大きく変わります。では、その方法を解説していきましょう。

つらい状況から抜け出すための実践的な方法

つらい状況から抜け出し、より強くなる方法は「説明スタイルを操ること」です。最も拒絶されることが多い職業の一つに営業があります。営業マンは基本的に9回に1回しか成功しないと言われています。つまり、90%は拒絶されるわけです。これが続くと、意気消沈しやすくなります。実際に生命保険のセールスパーソンの離職率は非常に高いです。しかし、どれほどの困難に直面しても常に気力を取り戻して立ち上がる人々が存在します。彼らは困難な状況をポジティブに説明する特徴を持っています。研究者たちはこれを「楽観的な説明スタイル」と呼びます。

楽観的な説明スタイルを持つ人々は逆境を一時的なものと解釈し、大したことではないし、すぐに回復するだろうと考えます。一方、悲観的な説明スタイルを持つ人は同じ出来事を大げさに捉え、ずっと続くと考えてしまいます。この物事の捉え方は行動にも影響を与えます。楽観的な説明スタイルを持つ人は良い結果を出そうと一層努力しますが、悲観的な説明スタイルを持つ人は無力感に落ち込み、努力をやめてしまいます。

例えば、説明スタイルを調べることで高校生が将来どんな成績を取るか、陸軍士官学校の新入生がうまくやっていけるかを予測できます。スポーツの世界でも、大学の水泳選手からプロ野球選手に至るまで、説明スタイルによって成績が変わることが実証されています。心臓バイパス手術後の回復状況にも説明スタイルが影響を与えることがわかっています。

セールスマンの調査によると、楽観的な説明スタイルを持つセールスマンは悲観的な人に比べて37%も多くの保険を売っています。最も楽観的な人と最も悲観的な人を比べると、売り上げに88%もの差がありました。また、楽観的な人が仕事を辞める割合は悲観的な人の約半分です。

実際にこの説明スタイルを採用の現場で重要視している会社もあります。説明スタイルの評価テストで良い成績だった候補者を採用し、一般的なテストで優秀でも説明スタイルの成績が悪ければ採用しないという基準を採用したメットライフという会社は、23年で離職率を急低下させ、市場シェアを50%近く上昇させました。

起きた出来事の本質をどのように説明するかという説明スタイルを楽観的にすることで、失敗や挫折から無力感を感じることなく、つらい状況でも立ち上がってその状況を改善する道を探すことができます。例えば、あなたがブログを必死で書いているのに全然伸びないと感じる場合、無力感を感じやすいです。しかし、ブログが伸びないのはもっと学習して賢くなるチャンスだと捉え、情報をインプットしてアウトプットする必要があると考えることで、自分はもっと成長できると感じられます。

あなたがリストラされた場合、その状況は自分の人生や今後の生き方を考え直すためのチャンスだと捉えましょう。体調が悪い場合も、病気は体が教えてくれた大切な情報であり、大きな病気に悪化する前に体が自分に情報を伝えてくれていると捉え、改善していくことが大切です。

説明スタイルを変えることで、辛い状況でも立ち上がり、状況を改善する道が見えてきます。成功している人々は逆境を単なる障害とは思わず、さらに成長するための踏み台と考えます。例えば、マイケルジョーダンは高校でバスケットボールチームから外されましたが、その後大きな成功を収めました。ウォルトディズニーやビートルズも同様です。あなたが直面している辛い状況も、より大きく成長するためのチャンスです。説明スタイルを変更することで、その状況を打破するための道が見えてきます。

終わりに

今あなたが直面している辛い状況も、説明スタイルを変えることで乗り越えることができます。ぜひ、この記事を参考にして、ポジティブな視点で困難に立ち向かってください。

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